T.S工房とは

T.S工房は、さいとう・たかをの意志を受け継いだ「工房」として、さいとう・たかを/さいとう・プロダクション作品および「劇画」作品の主体的な継承・普及を行います。

電子書籍の登場をはじめとするデジタル技術の革新・隆盛によって、コミック業界は大きな変革の中にあり、制作、出版、その他の役割のあり方も変化してきています。

「劇画」という語が生まれるより前のキャリア初期、さいとう・たかをは、作品に自身のイニシャルからとって「T.S工房」と銘打っていました。
やがて分業制作によって「劇画」を確立する頃には自ら「出版者」でもあることを志向するようになり、変わりゆく時代の中で、新しい形の「出版社」の立ち上げにチャレンジしたいという思いを抱いていました。
その思いは、晩年にさいとう・たかを自らが法人を設立するという形で産声を上げました。

T.S工房は、そんなさいとう・たかをの遺志を受け継いだ「工房」として、さいとう・たかを/さいとう・プロダクション作品のアーカイブ事業に着手します。
さらに、このアーカイブ事業を元に、作品を活用したさまざまな「ものづくり」を行うことで、『ゴルゴ13』のみならず、多彩なさいとう・たかを作品を世に広めていく役割を担います。

さいとう・たかをプロフィール

1936年和歌山県生まれ。

1955年『空気男爵』(大阪・日の丸文庫刊)でデビュー。貸本向け漫画誌の中心的な存在として、大阪で精力的な活動を続ける。1960年『台風五郎』の大ヒットで不動の人気を獲得。その後、活動拠点を東京に移し『さいとう・プロダクション』を設立、作品制作過程における分業化をはかり、脚本部門を設けるなど、プロダクション形態の劇画制作システムを構築。劇画の第一人者である。

1975年に第21回小学館漫画賞、2002年に第31回日本漫画家協会賞・大賞を、ともに『ゴルゴ13』で受賞した。2003年に紫綬褒章受章、2004年に再び『ゴルゴ13』で第50回小学館漫画賞審査委員特別賞受賞、2010年に旭日小綬章受章。2014年8月に堺市立文化館で「ゴルゴ13の世界展」を開催。2017年10月から連載50周年記念特別展「さいとう・たかを ゴルゴ13」 の巡回展を開始。2018年に『ゴルゴ13』連載50年を迎える。同年、和歌山県文化表彰文化賞の表彰、翌2019年には名誉都民の顕彰を受ける。同年、第23回手塚治虫文化賞特別賞を受賞し、2020年で画業65周年を迎える。

2021年、現在も「ビッグコミック」にて連載中の『ゴルゴ13』単行本が201巻を突破し「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録に認定された。

他の作品に『鬼平犯科帳』(「コミック乱」にて現在連載中)『仕掛人藤枝梅安』『影狩り』『無用ノ介』『サバイバル』『雲盗り暫平』などがある。社団法人日本漫画家協会理事。